悔しさをバネに感謝の言葉を
「口だけ」
そう言われた私は、悔しかった。ただただ悔しかった。そして怒りを覚えた。
Nに対してじゃない。私自身に。
憧れの人に呆れられてしまうそんな自分に。親や将来を言い訳に逃げてしまうそんな自分に。いつかなんとかなるだろうと甘えていた自分に。
そして私はこう思う。
変わろう
と。
Nに認めてもらうために。Nのような人間になれるように。私が私になれるように。
それからの私の行動は異常だったと言える。
翌日には私のカンボジア行きが決まっていた。
旅人を育成するための企画をしている「タビイク」の、カンボジア年越しプランというものに参加申し込みをしたのだ。
この「タビイク」というものは過去にNも参加したことのあるもので、Nから旅の話を聞いた際に、この企画のことも教えてもらっていたのだ。
また、同じくタビイクが企画するタビ飲みというものにも参加した。
そこでは多くの旅人や、私のようにまだ旅をしたことがない人が集まる。私は、夢を見て夢を語り、夢を知りそれと同時に現実を知った。
これまでの自分の考えの甘さと現実の厳しさを痛感し、その先にある夢という名の異世界を見る。
やってやろう
そんなやる気に満ち満ちていた私の一歩はまだ止まらない。
3月にはインドに行くことになった。
タイで祭りを企画する実行委員になった。
「新しい時代の旅のカタチを本気で考える」ゼミに入った。
短期間でこの行動力
今までの自分なら考えられない
これも全部、Nのあの言葉があったから
これも全部、あの日Nと知り合ったから
Nという存在があったからこそ、今の私がいるのだ。
私はこれからも歩み続ける。
はるか先にいるNに追いつくために。
そして、私が私であるために。
私は貴方と出会えて人生が変わりました。本当にありがとう。