旅を初めて13日目の恐怖
12月24日から始まった旅も、今日で13日目。
旅を始めてからの毎日は、いつでも新鮮で私に刺激を与えた。
外国語が飛び交う街中に一人で立ってみる。
あぁ、自分は本当に旅に出たんだ。私は今、一人で海外にいるんだ。私はちゃんと、一歩踏み出せたんだ。
そんな気持ちで胸が熱くなる。
立ち並ぶ屋台からは、食欲をそそるいい匂いが漂ってくる。どの服を買おうか悩ませる旅人。昼間から酔いが回り、上機嫌な欧米人もいる。
挨拶をしてみよう。
ハロー、サワディーカァ、またはこんにちは
みんなが笑顔で応えてくれる
スキンシップをしてみよう。
ハイタッチ、ハグ
頬にキスをしてくれる人もいた。
日本じゃ考えられないことが、海外では平気で起こっている。
興奮した。自分の知らなかったことを知れた瞬間に、自分の世界が広がっていく瞬間に。
13日目、つまり今日の朝
ゲストハウスの一室で目覚めた私はこう思う
「外に出たくない」
そこには刺激を拒む自分がいた
外に出て知らない人に会うのが怖い。知らない外国語で話しかけられるのが怖い。知らない場所に行くのが怖い。
日本で生まれ育ち、完全に平和ボケした私の体は、突然の刺激に限界を感じたのかもしれない。
外に出ることを諦めた私は、部屋でダラダラと過ごすだけ。
日本にいた時と何も変わらない。外に出なければ、ここが海外だともわからない。
iPhoneの画面を無心に眺める。
流れるTwitterのタイムライン。大量の通知が届くグループLINE。
自分と2つくらいしか歳の変わらない人達が、毎日大きな決断をしている。毎日なにかに挑戦している。
それに比べて私はどうだろうか
部屋でぐーたらしてるだけ
悔しい。悲しい。情けない。
そしてなにより、怖くなった。
自分はこのまま何もせずに終わるんじゃないか
みんなに置いていかれて、いつか一人になるんじゃないか
なんでみんなはそんなに簡単に行動できるのか
自分が怖かった。みんなが怖かった。
このままじゃダメだと思った。
でも行動するのが怖かった。
恐怖心に染め上げられた13日目
私はどうしたらいいのだろう
わからないまま迎える昼過ぎ
私の一歩が止まった13日目